2010年04月16日

石川遼「言葉の力」 父、トレーナー、恩師らが明かしたコメントをめぐる全ドラマ(第1回)

石川遼「言葉の力」 父、トレーナー、恩師らが明かしたコメントをめぐる全ドラマ(第1回)G24月15日(木) 16時48分配信 / スポーツ - ゴルフ
G2 Vol.3誌面より
柳川悠二(ノンフィクションライター)

高校1年生だったあの日から、3つ年を重ねた。

2007年のマンシングウェアオープンを15歳8ヵ月で制した石川遼は、16歳でプロ転向を宣言、17歳でマスターズ出場を果たし、18歳で日本プロゴルフツアーの賞金王に輝いた。

わずか4行でさらりと書いてしまったが、このことがいかに偉業であるかなんて、今さら紙幅を割く必要もないだろう。まさに彗星の如く現れ、国民的ヒーローになりながら、期待されるがまま成長し、順調すぎるほどに勝利を重ねてきたのである。

彼を初めてインタビューしたのは昨春、マスターズ出場のためにアメリカへ発つ直前だった。それまで私は、実際のプレーだけでなく、記者会見での当意即妙にして的を射たコメントも、石川遼の大きな魅力だと考えていた。

だからこそ、このインタビューでは、彼の持つ「言葉力」をテーマにするつもりだった。

ところが、CM撮影終了後に予定されていた取材は、撮影時間が押したために当初よりもずいぶん短縮されてしまう。挨拶もそこそこに、私は矢継ぎ早に質問を投げかけていった。

―試合後の会見では、とても17歳とは思えないような冷静なコメントを聞くことができる。発言するにあたって意識していることはある?
「質問された時に、自分が納得した答えが出せればいいと。“頭の中ではこう思ったけど、口では別なことを言っておこう”というのはないです。その場で感じたことを包み隠すことなく皆さんに伝えていければと思います」
―マスターズに出場することが夢だったね。
「今の時点では予想外に自分が目標としていたことがかなっている。だからこそ、悪い意味で勘違いしないようにしたいです。“僕にはマスターズに出場出来る実力があるんだ”と思っちゃうともう遅いんで、そういうことも思わないようにしていますね」

用意した質問の半分も消化しきれないまま、部屋の扉が開かれ、マネジメント担当者が終了を告げる。・石川遼・を単独インタビューできる機会は当時も今も貴重だ。私の不満がつい顔に出てしまったのだろう。その時、彼は、両手を大きく広げて、意外な言葉を口にした。
「僕はまだ大丈夫ですよ(笑)。どうぞ何でも聞いてください」
これでは、どっちが年長者なのかわからない。

通常、トップアスリートになればなるほど、七面倒くさいインタビューを嫌うようになるものだが、取材者の立場を気遣うこの一言に私は少なからず驚いた。むろん、撮影が押したのは誰のせいでもない。撮影現場では起こりがちなこの不測の事態を、主役自らが丸く収めた。

それは図らずも、一瞬で場の空気を読み、初対面の人間であっても柔和にコミュニケーションをこなす石川遼という少年の「言葉力」に触れた瞬間だったように思う。
彼の歩みには、常に“史上最年少”の記録がつきまとう。が、もはや年齢で実力を推し量ることは無意味であるし、18歳だからと過大に評価することもない。最近では「ハニカミ王子」と呼ばれることがめっきり減ったことからも明らかなように、名実共に日本のトップゴルファーであり、世界最高峰のマスターズ制覇を目標に据える、一流アスリートである。

石川遼の真の魅力とは―。

確かに、ドライバーの飛距離にこだわり、ロングホールではひたすらイーグルを狙うという彼の「攻めのゴルフ」は大きな魅力だ。端麗なルックスはもちろん、爽やかで健やかな立ち居振る舞いもまた然りだろう。しかし、試合後の会見やメディアとのやりとりの中で、言葉にしたことを実行していく姿勢や、絶妙な言葉の使い方こそ、多くの国民が顕在的であれ、潜在的であれ、彼に好印象を抱く最大の理由のような気がしてならない。
本稿では、石川遼のゴルファーとしての技術がいかに優れているかについては、いまさら言及しない。幼少期からこれまでの彼の発言の数々を振り返りながら、その背景に流れる両親の教え、本人の徹底したプロフェッショナル意識、そして彼が抱くビジョンに迫っていく。

これまでの彼のコメントを、つぶさに時系列で追うことにより、石川遼が“石川遼”たりえたルーツを探ることとなり、自然と成長の軌跡も見知できるだろう。
いわば、石川遼の「言葉」をめぐる旅である。

(第2回につづく)



タグ:石川遼
posted by ぴか at 09:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ゴルフ・石川遼
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