2011年06月24日

東日本大震災 今何ができる 3カ月目のメンタルケア

東日本大震災 今何ができる 3カ月目のメンタルケア産経新聞 6月23日(木)7時55分配信

東日本大震災後の子供の「心のケア」について開かれたシンポジウム。主催のNPO法人「キッズドア」の渡辺代表は「本当に支援が必要な人にも来てほしいが、情報が伝わっているか分からない」=5日、東京都港区(織田淳嗣撮影)(写真:産経新聞)

 ■PTSD移行の予防を

 東日本大震災から3カ月が経過し、震災による精神的な打撃が「後遺症」と呼ばれる時期にさしかかっている。暮らしの安定なくして安心はないが、後遺症の軽減は少しの工夫でできる。この時期の支援についてまとめた。(織田淳嗣)

[フォト]悲しみ紛らす飲酒は必要か 避難所でのストレス


 ◆3カ月で慢性化

 浜松医科大学の杉山登志郎教授(児童青年期精神医学)によると、震災から3日目までは緊急時への防御反応が働き、「コルチゾール」というホルモンの緊急放出をはじめとする生体反応が起きる。しかし、8週間が経過すると、こうした反応は脳にマイナスの影響を及ぼすようになる。2カ月で急性のPTSD(心的外傷後ストレス障害)、3カ月で慢性のPTSDに移行する人がいるという。

 後遺症を減らす対策としては、安心、すなわち生活の安定が第一だが、(1)災害で心身に何が起こるかを知る教育(2)マイナス反応を減らすためのボディーワーク(体の動作による心身調律)(3)服薬−が有効となる。

 特にボディーワークは、PTSDが慢性期を迎えても有効だという。決まった時間帯に行うのではなく、自分や子供が「緊張状態が続いている」と自覚したときに行うのが原則。杉山教授は「(震災の記憶がよみがえる)フラッシュバックなどで心に『戦闘モード』のスイッチが入ったときにボディーワークを行ってスイッチを戻すことが、PTSDへの移行の良い予防になります」とアドバイスする。

 ◆支援に壁

 専門家は「子供の安定には、親の安定が必要」と口をそろえる。しかし、被災地や避難所を問わず、管理・運営の面から、こうした支援を行うボランティアが避難所などに入れないケースもある。

 国内の子供の支援を行っているNPO法人「キッズドア」(東京都中央区)の渡辺由美子理事長は「避難所の外で親への支援活動をしても、最も必要な人はなかなか来てくれない。やりたいことができない状況です」と打ち明ける。避難所にイベントのチラシを置かせてもらって告知をしている状況だ。被災者自身がこうした情報に敏感になっておくと有効となりそうだ。

 今後は、カウンセリングの重要性が高まる時期だという。都内で「震災についてわかちあう会」((電)090・7827・8875)と題したカウンセリングを行っている、カウンセラーの平井智子さんは「震災直後に『日本が一つになろう』という前向きな機運の中で、表に出しづらかった抑えていた気持ちが2、3カ月後に表れてきている。人によるが、気持ちを言語化することができるようになる時期でもある」と話す。

                   ◇

【震災の後遺症を減らすボディーワーク】

◆腹式呼吸

 両手を腹に軽く添え、鼻から息を吸う。腹が膨らむのを手で確認する

 口から細く、長く息を吐く。口の前に置いた薄いハンカチやティッシュペーパーが軽く揺れる程度に

◆地面を感じる

 靴を脱いで床に足をおろし、足の裏が床についている感覚を意識する

 かかと歩き、つま先歩き、どしどしと、足の裏をしっかりつけて歩くなどする

◆緊張をほぐす

 楽な姿勢から、両耳につけるように肩を上げ、数秒たったら肩を落としながら息を吐く

◆左右交互刺激

 背中や肩を、左右交互に軽くたたいてもらう。両足の足踏みを30回繰り返し、深呼吸。これを繰り返す

 (杉山教授の話に基づいて作成)

 ■節電・夏を乗り切る「家庭の知恵」募集

 東日本大震災は大きな被害をもたらしました。福島第1原発の事故の影響で、電力不足や風評被害も起きています。こうした中で、私たちが今できること、家庭で実践している節電・エコ対策、夏を乗り切る方法、思いついたアイデアなど「家庭の知恵」をお寄せください。「私の“ワザ”」で随時紹介します。住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記し、〒100−8078 産経新聞文化部生活班まで。 〈メール〉life@sankei.co.jp 〈FAX〉03・3270・2424

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