2007年08月12日

第89回全国高校野球:金足農、互角の戦いに拍手 好機にスタンド総立ち /秋田

第89回全国高校野球:金足農、互角の戦いに拍手 好機にスタンド総立ち /秋田
8月12日12時4分配信 毎日新聞


 夏の甲子園第4日の11日、第2試合で秋田代表の金足農は、大垣日大(岐阜)と対戦し、1―2で惜敗した。2回に先制され、4回には先発高橋健介投手(2年)が打球を受けて降板する苦しい展開。その後、桜庭啓修選手(3年)らの長短打と重盗で同点に並ぶが、その後はあと一本が出なかった。県勢10年ぶりの甲子園での勝利は逃したが、今春のセンバツ準優勝校である大垣日大と互角の戦いをした金足農ナインに、スタンドからは大きな拍手が送られた。【野原寛史】

 ▽1回戦
大垣日大 010000010=2
金足農  000100000=1
 大垣日大に序盤でソロホームランを浴び、1点差を追う展開となった金足農。四回、先頭打者の鋭い打球が高橋投手ののどを直撃し、高橋投手は後ろに落ちたボールを拾うと一塁に送球してアウトを取り、そのまま倒れて担架で運ばれた。突然のエース降板で、今野陽介投手(3年)が送り込まれた。
 四回の先頭打者で打席に立った4番、桜庭選手が右越え三塁打を放つと、父専治さん(67)は「啓修最高だ!」と叫び、メガホンをたたいて喜んだ。三塁側アルプススタンドは総立ちになり、チャンス到来を告げる速いテンポの演奏に合わせて何度もジャンプした。
 さらに浅野高馬主将(3年)がボールを地面にたたきつけ、無死一、三塁の好機を作る。次の渡辺雄太選手(3年)がスクイズを外し、「あーっ」と落胆の声が応援席からもれた次の瞬間には、相手捕手が二塁に放る間に、俊足の桜庭選手が生還を果たした。スタンド応援の野球部員たちは「ヨッシャー」と絶叫しながらガッツポーズをみせた。
 その後は両チームともなかなか点が入らず、八回、今野投手が適時打を浴びて勝ち越され、再び1点差を追う展開に。リリーフに浅野主将が送り込まれる。
 最終回、小松宏之選手(2年)が左前打で出塁。次の打者が送りバントに失敗し、小松選手が二塁で封殺される。父母たちは「まだまだあきらめるな」と檄(げき)を飛ばした。最後のバッターが三振で倒れるまで、精いっぱいの声援が送られ続けた。
 ◇経験の差が出た−−嶋崎久美・金足農監督

 攻撃の肝心な場面でミスが出るなど、普段通りのプレーができなかった。相手投手のスライダーに手を出さないよう指示したが、予想以上の投球をされた。向こうはセンバツに出ているので、その経験の差があったと思う。
 ◇金農の野球できた−−浅野高馬・金足農主将
 森田投手は予想以上のキレのある球を投げ、外角の速球を狙ったがうまく打てなかったのが敗因。勝ちたかったが、しっかり守る自分たちの野球はできたので、悔いはありません。甲子園でのプレーは楽しかったです。
 ◇ベッドで敗戦聞く
 ○…先発として力投していた高橋健介投手が四回、のどに打球の直撃を受けて痛みのあまり倒れ、救急車で兵庫県尼崎市内の病院に搬送された。試合の結果を聞いたのは、病院のベッドの上。検査の結果、大事には至らなかったが、「プレーに関しては全く記憶がないです。先輩たちに本当に申し訳ない」。それでもこぼれた球を一塁に投げた姿に、嶋崎監督は「あの状況でも練習通り動けたのは大したもの」。高橋は「来年も必ず来て、借りを返します」との言葉を残し、甲子園を去った。
 ◇甲子園は最高
 ○…四回、先発の高橋投手の負傷降板で、ブルペンで待機していた今野陽介投手(3年)の出番が回ってきた。秋田大会前に肩を痛め、毎日練習後に整体院に通って治療を続けた甲斐(かい)あって、甲子園では痛みを感じなかった。7四死球と制球に苦しむが、八回2死で交代するまで1失点に抑えた。「最初は焦りましたが、みんなが守ってくれるから、打たせて取る投球ができた。負けたのは悔しい。でも、夢だった甲子園のマウンドは最高でした。投げられてよかった」と振り返った。
 ◇友情演奏に大満足
 ○…農業系の学科がある縁で、兵庫県三田市の有馬高校の吹奏楽部50人が、金足農の応援に駆けつけた。20人が楽器を演奏、30人が声援を送った=写真。事前に楽譜を送ってもらい、音合わせは試合前日に約30分しかできなかったが、金足農吹奏楽部の山内久未部長(3年)は「(いつもの14人の演奏とは)音の厚み、迫力が違う」と、大満足の様子。有馬の内藤光歩部長(2年)は「力になれるように頑張りたい」と、息の合った演奏で試合を盛り上げた。
 ◇応援団も一挙増員
 ○…金足農応援団を引っ張るのが団長の木村美咲さん(2年)だ。入学すると団員は1人きりで、声だしや振り付けの練習を孤独に続けた。今春待望の新入生が入団し、2人で秋田大会の応援を盛り上げた。さらに甲子園出場が決まると、他の生徒も臨時で参入し、一挙に12人に増えた。木村さんはきりりとした表情で「こんな人数を仕切るのは初めて。暑いけど、しっかり応援したい」。「金足農応援団 NO1」と刺しゅうされたはかま姿で声援を送った。
 ◇買い物客も声援
 ○…秋田市御所野の「イオン秋田ショッピングセンター」では、売り場の一角に金足農の熱戦を伝える大型テレビが設置され、買い物客らが足を止めて活躍を見守った。四回無死一、三塁から浅野、桜庭が重盗を成功させて同点に追いつくと、人垣から「おおっ」とうなり声が上がったが、九回、1点差のままゲームセットを迎えると、ため息が漏れた。亡夫が金足農OBだったという秋田市の石井享子さん(73)は最前列の椅子に陣取り、涙を流すナインを最後まで見届けた。「力負けした面もあっただろうが、好試合は選手のいい思い出になるでしょう。胸を張って帰ってきてほしい」と話していた。
 ◇負けても悔いなし−−金足農・浅野高馬主将(3年)
 主将、守備の要、抑え投手の三役で活躍した。選手に猛練習を課す嶋崎久美監督ですら「あの子は放っておいたら倒れるまで練習するから、何とか抑えなきゃならん」とうなるほどの努力家だ。
 主将に就いた昨秋。思うような試合展開ができず、一時はチームの和が乱れかけた。練習中は誰よりも声を出してチームを鼓舞し、練習が終われば誰よりも長く道具磨きをして、居残りでバットを振り続ける。その姿を見て各選手が発奮し、チームがまとまるようになった。
 遊撃手としても抜群の守備力を誇り、冷静な判断で何度もチームの危機を救ってきた。さらに秋田大会では、抑えの投手として優勝に貢献。甲子園への切符を手にしても、「自分1人ではなく、チームプレーをした結果です」と、話しぶりはいつも謙虚だった。
 甲子園の夢舞台で、力及ばず敗戦。浅野主将は涙を見せず、「悔いのない、充実した1年間でした。県勢の甲子園での連敗ストップは、次代に託します」と、淡々と話した。さらに「まだ国体がある。県民の皆さんの前でもう一度、最高のプレーをしたい」。夏は終わったが、次の目標に向けて、闘志を燃やす。【野原寛史】

8月12日朝刊
最終更新:8月12日12時4分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070812-00000043-mailo-l05


posted by ぴか at 15:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 高校野球
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