2011年06月12日

村上春樹が東電と「効率社会」批判 スペインでのスピーチ内容に賛否両論

村上春樹が東電と「効率社会」批判 スペインでのスピーチ内容に賛否両論J-CASTニュース 6月11日(土)17時33分配信

 世界的作家の村上春樹さんが2011年6月9日(現地時間)、スペインのカタルーニャ国際賞授賞式でスピーチした。大震災で原発事故を起した東電を批判し、効率を求めてきた社会に疑問を投げかけた。ネット上では、賛否両方の意見が寄せられている。

 グレーのジャケットをまとった村上さんは約22分間、よく通る低い声で身振り手振りをまじえながら日本語で話した。

■「核に対する『ノー』を叫び続けるべきだった」

 スピーチの話題は必然的に、3月11日に東日本を襲った大地震のことに及んだ。村上さんは「大地震で日本人は激しいショックを受けたが、結局は復興に向けて立ち上がっていくだろう。壊れた家屋は建て直せるが、倫理や規範は簡単に元通りにはできません」などと指摘した。

 その矛先は、原発事故を起した東京電力に向かう。原発事故による悲惨な結果を招いたのは、建設した者が津波を予想していなかったことなどを挙げたうえで、「何百年かに一度あるかないかという大津波のために、大金を投資するのは、営利企業の歓迎するところではなかったから」「政府も、原子力政策を推し進めるために、その安全基準のレベルを下げていた節が見受けられます」などと批判した。

 ただし、こうした「歪んだ構造」を「許してきた」、「黙認してきた」国民にも責任があり、加害者であると表現した。広島に落とされた原子爆弾を引き合いに、「核」への拒否感が揺らいだのは「効率」ではないかと持論を展開。「我々日本人は核に対する『ノー』を叫び続けるべきだった。それが僕の意見です」「『効率』や『便宜』という名前を持つ災厄の犬たちに追いつかせてはなりません。我々は力強い足取りで前に進んでいく『非現実的な夢想家』でなくてはならない」などと述べた。

■「僕らは簡単に『効率』を捨てることができるのだろうか」

 スピーチの様子は、テレビ朝日がwebサイトで動画を掲載しているほか、毎日新聞がweb版でスピーチ全文を掲載し、ネット上で注目を集めた。2011年6月11日16時現在、毎日新聞の記事は、異例とも言える1万回以上がツイートされているほどだ。

 スピーチの内容に対して、賛否の意見が寄せられている。肯定的な意見は「原発反対について、きちんとメディアで話すことは、責任も生じるかもしれないが、やっぱり必要なことだと思う」「脱原発を望む人たちが感じていることを村上節に翻訳してスピーチしてくれた気がする」「しっくり来た。あと自分自身にも非難の目を向けるって視点は意外と見過ごされてるから」「村上さんが本当に言いたいことは『効率』でなにもかもを語ってしまうことの愚かしさなんじゃないか」といったものだ。

 一方で、批判的な意見や疑問も少なくない。「『効率』だけを求めて生きてきたから、このような事故を引き起こしてしまったんだろうか。たとえそうであっても僕らは簡単に『効率』を捨てることができるのだろうか」「彼自身が被災地にいたのなら、もっと違う角度で切り込みが出来ただろうに残念」「そんなに発言力があるのに反原発を叫ばなかったの?」「(想定の有無や効率よりも、東電の)事後の対応のまずさも大きいのでは」「外国で言わずに日本のマスコミの前で言ってください。インタビューを生中継で受けてその場で話して下さい」などだ。

■2009年にはイスラエルでのスピーチが物議

 村上さんはメディアへの露出の少ない作家だが、2009年2月にはイスラエルで行われたエルサレム賞の受賞式でスピーチし、話題を集めた。当時、ガザの騒乱でイスラエル政府が非難されている中で、出席すべきではない、との批判もあった。

 スピーチの中で村上さんは「もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立つ」と言い、個人と社会のあり方を「卵」と「壁」にたとえた。

 このスピーチは欧米マスコミから、イスラエル政府のガザ攻撃を非難したものだという受け止めが出るなど、世界的な注目を集めた。

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2010年07月03日

1Q84」続編「可能性ないとは言えない」 村上春樹さん3日発売の雑誌インタビューで

1Q84」続編「可能性ないとは言えない」 村上春樹さん3日発売の雑誌インタビューで7月1日11時42分配信 産経新聞

大ヒットなった「1Q84」

 3日発売の季刊雑誌「考える人」(新潮社)に、作家、村上春樹さんがベストセラー小説「1Q84」の続編について「書く可能性はまったくないとは言えない」などと語ったロングインタビューが掲載される。

 村上さんはインタビューの中で、BOOK3までの展開について「あの前にも物語はあるし、あのあとにも物語がある」と前後の構想があることを明言。「解き明かされてしかるべきことはいくつかあります」とした上で、執筆について「BOOK4なりBOOK0なりがあるかどうかは、いまは僕にも何とも言えない」「もう興味がなくなっているかもしれない」などと語った。

 「1Q84」は377万7千部を発行し、社会現象になった。約90ページにわたるインタビューではこのほか、日常生活や作家としての態度、今後の創作の展望についても語っている。

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2010年04月28日

「1Q84」3巻、10万部増刷で100万部

「1Q84」3巻、10万部増刷で100万部
2010年4月27日(火)19時7分配信 読売新聞

 新潮社は27日、村上春樹さんの長編小説「1Q84」BOOK3の10万部増刷を決め、100万部に達したと発表した。

 発売12日目での到達は、BOOK1と比べて22日早い。3巻の累計は366万部。

 同社によると、品切れの書店も一部出ているが、今月末に増刷分が出回り、解消されると見込んでいる。また、紀伊国屋書店の発売2週目の売り上げデータによると、購入者のうちの24%を30〜49歳の女性が占めている。

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2009年12月04日

【オリコン】今年最も売れた“本”は村上春樹『1Q84』、2冠達成

【オリコン】今年最も売れた“本”は村上春樹『1Q84』、2冠達成12月4日4時0分配信 オリコン

2009年最も売れた本は、村上春樹著の『1Q84 BOOK1』(新潮社)

■作家別でも首位獲得で村上春樹09年2冠

 村上春樹の『1Q84』第1巻が2009年年間“本”ランキングのBOOK(総合)部門の首位を獲得した。オリコンが、WEB通販を含む全国書店1717店舗からの売上をもとに集計(2008/11/17〜2009/11/22)して発表した。同著『1Q84 BOOK1』(新潮社・今年5月発売)は期間内に108.0万部の売上を記録し、同時発売の第2巻『1Q84 BOOK2』(同)も売上89.6万部で3位にランクイン。年間TOP3の内の2作を『1Q84』が占めた。また、村上は『作家別売上部数ランキング』でも年間1位を獲得し2冠を達成した。

 今年5月に2冊同時に発売された同著は、『アフターダーク』以来5年ぶりの村上の新作として注目も高まり、発売直後から品切れ店が続出。6/8付から7/6付までの5週連続で1、2巻がBOOK(総合)部門の週間ランキング1位、2位を独占する人気となった。なお、村上の作品は期間内の総売上部数は198.1万部を記録した。

 2位には、昨年末の麻生元首相による誤読騒動から人気に火がつき、期間内に100.1万部を記録した、漢字の読み方本『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房・2008年1月発売)がランクイン。また、今年はゲーム攻略本とブランドムックも数多く出版され、そんな中、『ドラゴンクエストIX 星空の守り人 NDS版 大冒険プレイヤーズガイド』(集英社・2009年7月発売)が7位(売上47.6万部)、ブランドバッグが付いた『Cher 09-10 AUTUMN/WINTER COLLECTION』(宝島社・2009年8月発売)が8位(売上45.8万部)とTOP10入りした。

 一方、文庫部門では、83.5万部を売上げた道尾秀介『向日葵の咲かない夏』(新潮社・2008年8月発売)が首位を獲得。この知らせを受けて道尾は「80万人もの人がこの本を買ってくれたということは、読み終えるのに仮に1人3時間かかったとして、ぜんぶで240万時間も使わせてしまったことになる。その時間で実に4800万杯ものカップラーメンが完成する。それに見合うだけのものが、果たしてこの物語にあったのかどうか。――あった、と思わなければ作家なんて怖くてやっていられない」とコメントを寄せた。

 このほかコミック部門は尾田栄一郎『ONE PIECE』(集英社)の52巻〜55巻がTOP4を独占、タレント本部門では中居正広 の『私服だらけの中居正広増刊号 〜輝いて〜』(売上37.0万部・扶桑社・2009年8月発売)が年間1位に輝いた。

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2009年09月18日

村上春樹さん 小説「1Q84」の第3部執筆中 来夏出版

村上春樹さん 小説「1Q84」の第3部執筆中 来夏出版9月17日2時38分配信 毎日新聞

村上春樹さんの小説「1Q84

 長編小説「1Q84」が話題になっている作家、村上春樹さんが、毎日新聞の単独インタビューに応じた。村上さんは第3部を執筆中であることを明らかにし、来年初夏を目安に刊行したいと話した。

村上春樹氏:「1Q84」を語る 単独インタビュー(1) 「来夏めどに第3部」
村上春樹氏:「1Q84」を語る 単独インタビュー(2) 個人を二重に圧殺
村上春樹氏:「1Q84」を語る 単独インタビュー(3止) 物語の「善き力」を

【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(中)
新作「1Q84」オウム裁判が出発点…村上春樹さん語る

「1Q84」が100万部突破6月9日

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2009年06月17日

【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(上)月の裏に残されたような恐怖(読売新聞)

新作「1Q84」オウム裁判が出発点…村上春樹さん語る

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謎だらけ!村上春樹の最新作「1Q84」とは


【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(上)
月の裏に残されたような恐怖
本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

本棚に並ぶ村上春樹氏の『1Q84』(東京・千代田区の丸善・丸の内本店で)

村上春樹氏(60)が作家生活30年を経て発表した長編『1Q84』(新潮社)は、現実から少しだけねじれた世界で進む物語だ。どのように発想され、どんなテーマが込められたのだろう。(尾崎真理子)

 村上(以下M) G・オーウェルの未来小説『1984』を土台に、近い過去を小説にしたいと以前から思っていた。もう一つ、オウム真理教事件がある。僕は地下鉄サリン事件の被害者60人以上から話を聞いて『アンダーグラウンド』にまとめ、続いてオウムの信者8人に聞いた話を『約束された場所で』に書いた。その後もできる限り東京地裁、東京高裁へ裁判の傍聴に通った。

 事件への憤りは消えないが、地下鉄サリン事件で一番多い8人を殺し逃亡した、林泰男死刑囚のことをもっと多く知りたいと思った。彼はふとした成り行きでオウムに入って、洗脳を受け殺人を犯した。日本の量刑、遺族の怒りや悲しみを考えれば死刑は妥当なのだろうと思うが、基本的に僕は死刑制度に反対だし、判決が出た時は重苦しい気持ちだった。ごく普通の、犯罪者性人格でもない人間がいろんな流れのままに重い罪を犯し、気がついたときにはいつ命が奪われるかわからない死刑囚になっていた――そんな月の裏側に一人残されていたような恐怖を自分のことのように想像しながら、その状況の意味を何年も考え続けた。それがこの物語の出発点になった。


現代のシステム

 ――完成した作品は、人間の気高さ、怖さを深く考えさせる。善悪とは、人を裁くとはどういうことか。裁判員制度が始まり、皆が再考中の時期でもある。

 M オウム事件は現代社会における「倫理」とは何かという、大きな問題をわれわれに突きつけた。オウムにかかわることは、両サイドの視点から現代の状況を洗い直すことでもあった。絶対に正しい意見、行動はこれだと、社会的倫理を一面的にとらえるのが非常に困難な時代だ。

 罪を犯す人と犯さない人とを隔てる壁は我々が考えているより薄い。仮説の中に現実があり、現実の中に仮説がある。体制の中に反体制があり、反体制の中に体制がある。そのような現代社会のシステム全体を小説にしたかった。ほぼすべての登場人物に名前を付け、一人ずつできるだけ丁寧に造形した。その誰が我々自身であってもおかしくないように。


新しいリアリズム

 ――作中の全員が傷を負い、陰を持つ。だがそれぞれ魅力的だ。月が二つ浮かび、超現実的な「リトル・ピープル」や「空気さなぎ」が現れても、映画やゲームでCG映像を見慣れた世代に違和感はなさそうだ。

 M 自分のいる世界が、本当の現実世界なのかどうか確信が持てなくなるのは、現代の典型的な心象ではないか。9・11のテロで、ツインタワーが作られた映像のように消滅した。あれだけあっけない崩壊を何度も映像で見せられているうちに、ふとした何かの流れで、あの建物がない奇妙な世界に自分は入り込んだのだと感じる人がいてもおかしくはない。G・ブッシュが再選されず、イラク戦争も起こらない、そんな別の世界がここではないどこかで続いているのかもしれないと。

 日本人は1995年にたてつづけに起きた阪神大震災とオウム事件で、「自分はなぜ、ここにいるんだろう?」という現実からの乖離(かいり)感を、世界よりひとあし早く体験した気もする。僕の小説は、『ノルウェイの森』を除いて、いわゆるリアリズムの小説ではないが、それゆえ新しいリアリズムとして、世界中で受け入れられ始めているのを感じる。9・11以降はとくに。

 同時に僕は、バルザックのような世俗そのものを書いた小説が好きで、この時代の世相全体を立体的に描く僕なりの「総合小説」を書きたかった。純文学というジャンルを超えて、様々なアプローチをとり、たくさん引き出しを確保して、今ある時代の空気の中に、人間の生命を埋め込めればと思った。


時間に耐え、育つ「物語」

 ――『1Q84』では学生運動から派生した集団が、政治的グループと自給自足団体に分裂し、後者がカルト教団へ変貌(へんぼう)する。背景には現代史の実際の出来事も浮かぶ。

 M 僕らの世代が1960年代後半以降、どのような道をたどってきたかを考えていくべきだという気持ちはあった。僕らの世代は結局、マルキシズムという対抗価値が生命力を失った地点から新たな物語を起こしていかなくてはならなかった。何がマルキシズムに代わる座標軸として有効か。模索する中でカルト宗教やニューエイジ的なものへの関心も高まった。「リトル・ピープル」はそのひとつの結果でもある。


読者への最大の謎

 ――山梨の森の中で教団リーダーの娘が見た「リトル・ピープル」とは? 読者に手渡される最大の謎だが。

 M 神話的なアイコン(象徴)として昔からあるけれど、言語化できない。非リアルな存在としてとらえることも可能かもしれない。神話というのは歴史、あるいは人々の集合的な記憶に組み込まれていて、ある状況で突然、力を発揮し始める。例えば鳥インフルエンザのような、特殊な状況下で起動する、目に見えないファクターでもある。あるいはそれは単純に我々自身の中の何かかもしれない。

 原理主義の問題にもかかわる。世界中がカオス化する中で、シンプルな原理主義は確実に力を増している。こんな複雑な状況にあって、自分の頭で物を考えるのはエネルギーが要るから、たいていの人は出来合いの即席言語を借りて自分で考えた気になり、単純化されたぶん、どうしても原理主義に結びつきやすくなる。スナック菓子同様、すぐエネルギーになるが体に良いとはいえない。自力で精神性を高める作業が難しい時代だ。

 ――市場原理主義、グローバリズムと共に情報化も進んだ。インターネットで検索して情報を得るのは、与えられる情報に操られかねない面もある。

 M 確かに世界は1984年とは全然違う。ワードプロセッサーはあったが、家にパソコンはないからわからないことがあれば図書館へ調べに行った。携帯電話もないから、公衆電話に並び、33回転のレコードが回っていた。それが今はブログで誰もが無責任に意見を出し、匿名の悪意がたちまちネット上で結集する。知識や意見は簡単にペーストされ使い回される。スピードとわかりやすさが何より大事になる。

 今年2月、僕がエルサレム賞を受賞した際も、インターネットで反発が盛り上がったようだ。でもそれは僕が受賞するか拒否するかという白か黒かの二元論でしかなく、現地に行って何ができるかと一歩つっこんだところで議論されることはほとんどなかった。


作家の役割

 ――受賞スピーチ「壁と卵」で「個人の魂の尊厳を浮かび上がらせ、そこに光を当てるため」小説を書くと発言された。

 M 作家の役割とは、原理主義やある種の神話性に対抗する物語を立ち上げていくことだと考えている。「物語」は残る。それがよい物語であり、しかるべき心の中に落ち着けば。例えば「壁と卵」の話をいくら感動的と言われても、そういう生(なま)のメッセージはいずれ消費され力は低下するだろう。しかし物語というのは丸ごと人の心に入る。即効性はないが時間に耐え、時と共に育つ可能性さえある。インターネットで「意見」があふれ返っている時代だからこそ、「物語」は余計に力を持たなくてはならない。

 テーゼやメッセージが、表現しづらい魂の部分をわかりやすく言語化してすぐに心に入り込むものならば、小説家は表現しづらいものの外周を言葉でしっかり固めて作品を作り、丸ごとを読む人に引き渡す。そんな違いがあるだろう。読んでいるうちに読者が、作品の中に小説家が言葉でくるみ込んでいる真実を発見してくれれば、こんなにうれしいことはない。大事なのは売れる数じゃない。届き方だと思う。

(2009年6月16日 読売新聞)

『1Q84』への30年(中)はこちら続きを読む
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